標記会議の議事録が宮城県のページに公開されています(平成14年度宮城県献血推進協議会議事録(オリジナル) / 平成14年度宮城県献血推進協議会議事録(献血‐みやぎ的整形版))。これについて思ったところを述べてみます。
要約するとこんなところか――
平成11年度→平成12年度で献血者は1300人減少した
平成12年度→平成13年度で献血者が増加した
平成13年度の延べ献血者数は10万7000人を上回った
献血者の半数が献血ルームで献血している
献血ルームでの献血の割合は平成6年度から少しずつ伸びている
血小板製剤の約10%は県外からの受け入れによって供給している→県内での自給に力を入れる
原料血漿の確保は目標の97.5%に達した
全国平均の献血者率は4.59%、宮城県の献血者率は4.58%
献血者のほとんど(88%)が再来者で、初回者は少ない
献血者が増加したということで、まずはめでたい。問題は血小板の自給率か。移動採血車(献血バス)では成分は血漿しかできないらしいので、ルームでの採血に力を入れることになるだろう。
ひとつ気になったのだが、再来者の割合もさることながら、献血を一度だけしてその後していないという人がどれだけ居るかという調査はなされていないのだろうか。ちょっと面倒かも知れないが、調べてみる価値はあると思う。その理由もわかれば収穫であろう。
また要約すると――
平成14年度は成分献血の構成比を高める必要がある
おそらくは国からの割り当てを元にしているのであろうが、なんかすごい目標である。前の要約では成分献血者の増加は3700人だったが、今度はその倍以上の増加を目標としているのである。ますます、献血ルームでの採血に力を入れる必要があるだろう。
事業計画についてはどうだろうか。とりあえず青年赤十字奉仕団の名前が出ていないところが気になったが、計画に組み入れる性質のものではないのかも知れない。
ところでHertyちゃん
って何? という声もあるかも知れない。興味のある方は、このページに大きな画像があるのでご覧ください→若林区 献血にご協力ください。
平成14年度の4月〜7月の状況について報告があった。例によって要約すると――
献血バスにおける400mL献血が増えている
成分献血数は全体の10%
献血ルームでは成分は伸びているが400mLが伸び悩んでいる
学生の献血が増えている
原料血漿の確保は目標達成できそうな見通し
前年10月から実施している400mL限定の会場献血が奏効しているらしい
新規の献血協力事業所の開拓に成功している
献血ルームでの献血を推進する必要がある
ライオンズクラブ等の各団体・献血協力事業所などとの連携を密にして努力したい
献血ルームで400mLが伸び悩んでいる
とのことだが、別の論評(不振の打開に向けて)にも書いたとおり土日の一番町でも全血を受けつけたらどうかと思う。もちろん成分も軽視できないのはわかるが、やはりその論評に書いたとおり仙台駅北口の全血専門をやめて成分も受け入れれば少しは伸びるのではないか。他のルームと違って成分の設備がないところでやるというのは大変かも知れないが。
人の流れの問題もあるかも知れないが、たとえば仙台駅北口・一番町・藤崎の各ルームでひととおり献血すると記念品がもらえるとかいったスタンプラリーを実施するという手もあるだろう。(参考:献血ルームのご案内)
大井委員
(略)
ひとつお伺いしたいのは、いろんな戦略といいますか、広報活動にしろ、あるいは事業所の開拓にしろ努力されて、ひとつ、ひとつ実っていると思うんですが、献血をされる方々の生の声というか、何か採血の場合にトラブルまででなくても、何か要望事項とか、あるいは問題点とか、そういうものを吸い上げるというご努力は、今までなさっていて、あるいは問題があって、それを改善して良くなったというような成果があったかどうかお伺いしたいのですが。
色々、医療現場にしても、実際受けられる方々の声が、最近非常に強くなってきています。そういう意味で、献血の場においても、何かあるのかと思うんですね。
その辺いかがでしょうか。
石川幹事
アンケート調査等の大掛かりなことは、まだ、やったことはないんですが、それぞれのルームで、献血者と採血担当者における献血時間の間のコミュニケーションでも十分につかめるもので、そういったものを連絡会議等で説明され、状況を把握できるようになっております。それで、去年から、広報誌を発行しております。その季刊誌の中で、献血した人の感想、あるいはグループの紹介等で、皆さんにお知らせするというようなことを行っております。
大井委員するどーい。石川幹事あまーい。このへんの発想がお役所的というかなんというか、いや日赤は役所ではないが(石川幹事は宮城県血液センター副所長)。グッドマンの法則をひきあいに出すまでもなく、何か不満などがあってもその場では言わない人というのは多いものである。予算の都合もあるとは思うが、献血者ひとりひとりにアンケートハガキ渡して後からでも気づいたことをルームやセンターに伝えることができるような環境を整えるべきだと思う……とか書こうと思ったら、アンケート形式ではないにしろ今はそうしたハガキを用意して献血者に渡しているようなので、これは評価できる。
また、センターのウェブサイトには掲示板も設置されるようなのでWWWの使える人にはいいかも知れない。
話の続きを引用しよう。
大井委員
ご要望があれば、それを改善すれば、さらによろしくなるんじゃないかなぁーと思います。
佐藤議長
その広報誌には、いいニュースだけではなく、日赤のやり方に対する批判とかも、どんどん載せていかなければならないと思います。
その広報誌
というのはたぶん『献血いずみ』のことだと思うが、今のところ日赤のやり方に対する批判
らしきものは載っていない。まぁ、本当に不満が存在しないのなら問題ないが。
三塚委員
昨年度の伸びといい、今年度ののびといい、大変心強く思っております。
それで、お聞きしたいんですが、400mLに限っての受付をされたということなんですが、200mLをしたいんだというような苦情はなかったでしょうか。それと、新規に39箇所ほど事業所を開拓されたとおっしゃっていましたが、どんなところで、どんな形で開拓なされたのかお聞かせ下さい。
石川幹事
400mLについてですが、関西の方で先駆けて行っており、京都なんですが4、5年前から実施しており、向こうでは大分色々あったようですが、宮城県の場合、去年の10月からスタートしておりますが、ほとんど苦情がございません。これはやはり県民性というものかも知れません。
向こうでは大分色々あったようですが
というのが笑い事ではないがちょっと笑ってしまった。詳しいことは知らないが、京都では献血したくないという声も聞いたことがあるので。ま、京都のことはともかく、県民性
などというあいまいな言葉で片付けていいのかな、という気はする。何かと問題になるのは200mLでも受け付けているように見せかけて実は400mLを強くすすめられる(無理強いされる)という場合であって、最初から「ここでは(今回は)400mLだけ受け付けています」と堂々と謳っていれば問題なかろう。
事業所開拓についての返答がなかったようで、こちらも気になる。
続きは要約しよう。
(菅間委員の質問)……平成12年度から平成13年度にかけて何が良かったのか、詳しく知りたい
(舩山委員の返答)……事業所による献血バス受け入れが進んでいる。30代〜50代の男性の献血が増えている。女性は400mLを敬遠する傾向があるらしいが、20代の女性や主婦層の協力は大きい。臨時献血場担当の血液センター推進課の職員の態度が向上している。
(菅間委員の質問)……献血者を確保する方法についてまだ漠然としており、各種の情報を分析してより具体的な戦略をたてるべきではないか。
(舩山委員の返答)……県の薬務課とも検討して行きたい。
例によって要約しよう。
数年前に高校に勤務していたとき、献血者が2月に来ていた。2月はコンディションが悪いので別の時期に変えるか回数を増やすかしてほしいと要望したが、市町村の担当者によると、高校生は200mLなので効率がよくない、400mLを推進したいので回数を増やすのは難しいと言われた。しかし、将来のある高校生の献血は啓発という意味でも軽視できないと考える。
上記のような要望やこの場の会議で話し合われたことが、市町村の担当者レベルで止まってしまって浸透していない場合がある。
これに対する舩山委員の返答。
確かに、社会人の献血も高校生ぐらいのときに経験している人のほうが抵抗なく献血している。啓発という面で非常に重要と認識している。
……もうちょっといろいろしゃべっていらっしゃるのだが、どう要約していいかわからない、要点のつかめない発言なので省略。
これも要約しよう。
今年度のひとつの目標として、高校生の献血を進めて行く。やはり高校生のうちに経験しているとその後も抵抗が少ない。
小中学生対象のスポットで、高校生になったら献血してもらえるよう啓発している。
仙台市と血液センターと協力し、市内の事業所での献血を推進するため検討会を始めた。
県内の市町村の担当者の研修会・打合せ会を年2回程度行う予定。
高校生もそうだが、大学生・専門学校生にも期待していいんじゃないかと思う。400mLやってもらえるかも知れないし。
小中学生への啓発というのは独創的でいいかも知れない。
検討会や研修会は実施されたのだろうか。外部からでは様子がわからないのが残念だが、次回の推進会議でとりあげられることを期待しよう。
略
こういった研修というのは、もともと熊本県でやっていたのを参考にしたらしい。お金もかけているだろうし、何かレポートなどが欲しいところ。
例によって要約しよう。
少なくとも献血ルームの採血装置にはアミカスがあるから、それを使えば血小板はけっこう早く処理できそうなものだが……片腕を希望するドナーも多いのだろうか。あと、血小板献血はクエン酸反応(クエン酸中毒)が出やすいのも一因ではないだろうか。そのあたりの説明と同意(インフォームドコンセント)をすすめるというのは考慮されているだろうか。
あと回数の制限だが、これは厚生労働省に働きかけて基準の見なおしをはかるべきではないかと思う。
いっぽうその方策として挙げられていたのが――
献血者にはダイレクトメールを送るとか、そういった方策がとられるものと思う。『献血いずみ』を送るというのもいいかもしれない。
まだ議事は少々残っているが、コメントはこれくらいにしておこうと思う。今年もそろそろ会議が行われたと思うが、どんなだったろうか。