表彰制度についてもの申す

献血を続けていると、その回数によって表彰されることがあります。私自身、10回・20回でピンバッジをいただき、30回で銀色有功章、50回で金色有功章をいただいています。平成7年(1995年)に表彰制度が改定されてからは、50回の区切りでガラスの盃をいただいています。

さてこの「何回で」という表彰方法、ちょっと疑問を覚えることがあります。たとえば全血(赤血球)の場合、輸血副作用を低減させるためには200mLより400mLの献血がより求められているというのはわりと知られていることと思います。実際、献血の現場でも職員さんは「400mL献血にご協力を」と声高に訴えています。それはそれで問題はないのですが……これを表彰制度とからめて考えると、妙なことが起こります。例えば――

全血献血をするときに、Aさんは常に200mL、Bさんは常に400mLで献血していました。AさんもBさんも男性で、お互い献血間隔も年間上限もぎりぎり目一杯献血していたとして、先に表彰されるのは200mLばかり献血していたAさんなのです。なぜなら200mL献血は年に6回できますが、400mL献血は年に3回しかできないからです。200mL献血だけしていれば1年半強で最初の表彰(10回献血)に至りますが、400mL献血だけでは3年以上かかります――。

これでは、400mL献血に協力してくれと言っても説得力が弱くなるのではないでしょうか。いちいち表彰を気にして献血する人がどれだけいるかわかりませんが、公平性という面では問題があるような気がします。

これについて日赤関係者に質問してみると、とりあえず次のような答えが返ってきます。

完全に公平にはできない。献血に来たという行為に優劣はつけられず、どれも“1回”と数えている。

確かに、完全な公平は無理かもしれません。場合によっては“悪平等”で妥協せざるを得ないということもあるでしょう。しかし、400mL献血ばかりしていた人より200mL献血ばかりの人のほうが先に表彰されるという“逆転現象”は、いくらなんでもどうにかしたほうが良いような気がします。

これは、単に「回数」だけで表彰しようとするから歪みが生じるのではないでしょうか。たとえばこんな制度にしてはどうでしょう――

男性なら年3回、女性なら年2回の献血を継続(あるいは通算)した年数に応じて表彰する

……まったく回数を考慮しない表彰というのも無理があるので条件に入れてはいますが、現在の“回数至上主義”に比べれば相当ましな案になっていると思います。少なくとも、先に例に挙げたような“逆転現象”は回避できます。

この「3回」や「2回」の内訳は、200mLでも400mLでも、もちろん成分献血でもかまいません。

それでは回数を重ねる楽しみが……という向きもあるかも知れません。そこは既に各地で工夫を凝らしている(何もない場所もありますが)ポイントカードや処遇品に期待するのが妥当ではないでしょうか。宮城県では5000mLや10000mLの献血ごとに知事からの表彰というのもあります。そういったものも良いでしょう。

現行の制度よりは私の案のほうが“表彰”らしいと思うのですが、どうでしょうか。



ご意見はメール(yaburegasa@infoseek.jp)掲示板まで。なお、いただいたご意見は適宜こちらに転載させていただきたいと思います。

yaburegasa@infoseek.jp